鍼灸師が出てくる本の紹介

私の趣味は読書なのですが、読んだ本の中に同業者が出てくると嬉しいものです。鍼灸師が出てくる作品を紹介していきたいと思います。・・・が、なにぶん認知度の低い職業ですので、大々的に取り上げている作品は、今まで一度もお目にかかったことがありません。ほんの一文でも「鍼灸師」の名前が出てきたら載せていきます。ほんの一文ですので、よーく探さなくては見つからないかもしれません(笑)

 

アスリーツ

あさのあつこ 著

 

出版社 中央公論新社

 

鍼灸師は出てきませんんが、私が高校時代に夢中になった「ライフル射撃」のお話なのでご紹介します。

 

まさに、高校のライフル射撃部の話。友達に誘われて入部した主人公は、才能を発揮し一年生から全国大会へ出場します。

射撃の描写は、正直物足りなさがあります。この話の中心は、高校生たちの友情、情熱、嫉妬、葛藤。お年頃の主人公たちがスポーツに情熱を注ぐ一方で、自分ではどうすることもできない感情と戦い、苦しみます。青春です。

 

私にも、そんな時期があったなぁ、と思い出します。とにかく、部活で射撃がしたくてしたくて、朝練もして放課後も先輩を押しのけて練習して(態度がデカい後輩でした。。。)学校が休みの日も部活をしに出かけていきました。人生の中で夢中になったモノはライフル射撃だけだと言えます。

 

 

現在も、母校の射撃部は健在で、後輩たちが輝かしい結果を出しています。

私は、陰ながら、後輩たちの活躍を応援するのでした。


もうすぐ私も四十歳

 

岸本葉子 著

出版社 小学館

 

私の大好きな岸本先生のエッセイに鍼の記述がありました。岸本さんがアラフォーの頃のエッセイです。体にいい事を積極的に取り入れている方で、以前から鍼灸治療を受けていることは知っていましたが、一つの章で取り上げているのを発見しました。

P173 「本場で鍼を」と言うタイトルの章です。タイトルにある通り、中国で鍼治療を受けてきたようです。中国の鍼は、我々が使うものと違い太いです。岸本さんも「木綿針ぐらい太い」鍼を受けたそうです。面白いと思ったのは、通電治療をしている点です。

当院でも用いている鍼通電治療は、中国でも行われている治療方法なのですね。

 

大好きな岸本さんが、ちょうど今の私と同じ年齢の頃のエッセイです。どんな事をどんな風に感じていたのか。自分の人生の参考にしたいと思い読みました。(参考にはなりませんでしたが、同じようにアクセク、ドギマギしながら40代を過ごされたのだと分かり、妙に安心したのでした。)

 

だまされない

ー健康に関する「常識」は間違いだらけー

 

鎌田實 著

出版社 KADOKWA

196ページに鍼灸の効果について書かれています。

がんの治療手段として代替医療に頼る事の危険性に言及しています。しかし、代替医療の中でも「化学療法をした際に生じる吐き気に対して鍼灸を行うこと」は、科学的根拠があるため選択しても良いとあります。ハーバード大学が勧めていると書いてありました。

 吐き気に対する鍼灸の効果はWHOでも認めていることで、妊娠悪阻などにも有効だとされています。よく使われるツボが「内関」です。乗り物酔いしやすい人は覚えておくと良いでしょう。

 

 さて、鎌田先生が元気ハツラツである様子が文章を通して伝わってきます。また、今まで常識だったと思っていたことが間違っていた点や新しい説なども端的に書かれていて勉強になりました。


著者 辛酸なめ子

「おしゃ修行」

双葉社

 

たった一言「鍼灸治療院に行くとき」と出てきました。なめ子さんは鍼灸治療を受けているようです。その際、着替えやすいようにワンピースを着ていくようにしている。。。など等と書いてありました。それだけですが、鍼灸治療の常連であろうと推測でき、嬉しく思いました。

 

買い物に関するエッセイです。著者の独特の考え方が面白いと思いました。一方で、著者の買い物の仕方が心配です。買い物エッセイとしては純粋に楽しめませんでした。


著者  柳美里  

   「貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記」

出版社 双葉社

 

P149に柳美里さんが信頼を寄せている鍼灸師の先生が登場します。柳さんはうつ病を患ったり、頻繁に体調不良に陥ったり(かなり深刻)と、健康面の問題があるようで、そんなとき頼りにしている人間の一人が、この鍼灸師の先生のようです。

 

内容は、なかなか壮絶な生活状況です。だが、著者は強い。劇団を主宰したり、最愛の人が病気になった際にはできる限りの医療を提供しようと努力していた。その結果、貧乏生活にいたっているのだが、そのことに関しては後悔はしていない。著者が指摘するところによると「貧乏と貧困は違う」そうだ。貧乏は絶望的な状況ではない。どこか明るさを含むと言う。

以前、世間の注目を浴びた「柳美里、原稿料未払い事件」の真相も書かれている。芥川賞を受賞した際の佇まいで、「ただ物ではない」雰囲気を醸し出していた著者だが、やはりただ物ではなかった。


江戸の人になってみる

岸本葉子 著

 

私の大好きなエッセイストの岸本さんの作品です。

江戸時代の人々の暮らしの様子や知恵を書いています。その中に「病の時は」と言う章があるのですが、そこでお灸と鍼が紹介されています。ほんの3行程度ですが、江戸の人々が健康管理にお灸を活用していた様子が分かります。鍼に関しては、自分でできないので「座頭さん」に来てもらう、と書いてあります。(座頭さんとは江戸期における盲人の階級の一つだそうで、これらの人が按摩、鍼灸を職業としていたそうです。)

 

江戸時代、人々は知恵を出して合理的に生活していたようです。そして人生を楽しんでいたようです。

「昔」は決して「現代」より劣るわけではない。とても興味深く読みました。

 

全くの個人的な好みですが、私は岸本さんのエッセイが大好きです。美人で頭が良く真面目でおちゃめ。誠実な文章は読んでいて気持ちが良いです。優等生的な雰囲気もありますが、そこが好きなのです。岸本さんの他の作品もおススメです。

 

 


彼女に関する十二章

中島京子 作

 

主人公に冷え対策を指南する人物として、女性鍼灸師が登場します。ほんの一瞬です。

 

この作品は、伊藤整 「女性に関する十二章」を踏まえて

50代の女性を取りまく日常の疑問、不満を哲学的に分析している一冊。哲学的といっても堅苦しくありません。

驚くべきは、元ネタの「女性に関する十二章」の内容です。60年前のベストセラーだそうですが、そんな昔の主張でも、現在にも当てはまる点があり、時代がかわっても考え方は大きく変わらないのだなぁ、と思いました。

 


漢方小説

中島たい子 作

 

タイトルから推察できると思いますが、東洋医学がテーマの小説です。きっと鍼灸師が登場するだろうと期待したのですが、結論から言いますと、出てきません。主役は「漢方薬」です。残念。。。

ですが、東洋医学の基本的な考え方が豊富に取り入れられた小説です。主人公の状態、症状に照らし合わせて東洋医学の考え方を解説しながらストーリーは進みます。主人公の苦悩も共感できました。

私は学生時代に学んだことを復習するように読みました。「あーーー、これ試験に出たよぉ。」「これ、どういう意味だっけ?」と、学生時代に詰め込んだ知識が薄れていっている現実を突きつけられ、苦しみながら読みました(笑)